「一人っ子はかわいそうだよ」「二人目は?」などといった周囲からの言葉に悩んでいませんか?
その気持ち、よーくわかります。私も子どもは娘一人だけなので、これらの言葉は何度となく言われ、その度に傷ついてきました。
それは、私の場合は二人目がほしいなと思っていたのに叶わなかったからです。もちろん、今では傷つくこともなくなり、一人っ子であることに自信を持って子育てしています!。
前置きが長くなりましたが、さまざまな理由や方針で一人っ子というご家庭はたくさんあります。
本当に兄弟は必要で一人っ子はかわいそうなのでしょうか?
結論からいうと、一人っ子はかわいそうなんかじゃありません。むしろ、親の愛情を一心に受けることができ、子育てには最高な環境といえます。
この記事では、
- 一人っ子が「かわいそう」といわれる原因
- 一人っ子のメリットとデメリット(解決策も!)
- 一人っ子を育てるうえで注意したいこと
- 一人っ子がかわいそうと言われたときの返し方
などについて、まとめて紹介します。
この記事を読んでいただければ、一人っ子であることに自信を持って子育てすることができるようになりますよ。ぜひ、最後まで読んでみてくださいね。
目次
1.一人っ子は20%と増加しても「かわいそう」と言われる原因
国立社会保障・人口問題研究所が5年ごとに調査を行っている「出生動向基本調査」の2015年版に行われた最新版(2021年11月時点)によると、子どものいる夫婦うち一人っ子の割合は、2000年ころまでは1割だったのに対し、2010年の調査では2割近くに増えました。
この10年で実に2倍に増え、一人っ子はもはや珍しいものではなくなってきたといえます。(参照:国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」)
そんな状況にも関わらず未だに「一人っ子がかわいそう」と言われるのはなぜなのでしょうか?
その要因の一つに1800年代後半の著名なアメリカの心理学者Granville Stanley Hall(グランヴィル・スタンレー・ホール)氏が「一人っ子であることは『それ自体が病気』だ」と公然といったことが固定概念として根強く残っていることがあげられます。
後にHall氏の一人っ子に関する調査は非科学的で間違いであると、何人もの学者によって証明されてきましたが、残念ながら今でもその固定概念が残り続けています。
加えて、19世紀の終わり頃は、世界的に富国強兵が推し進められたことから、人口が急増した時期でもあります。こうした状況により、一人っ子への風当たりが強くなりました。かつて日本では「ひとりよりふたり」などといった広告コピーが流行したこともあるのほどだそうです。
それらの影響も根強く残る影響もあり一人っ子は、次のようなマイナスのイメージを持たれがちです。
- 過保護でわがまま
- 競争心がなくマイペース
- 協調性がない
- 兄弟がいなくてサビシイ
- 将来に親のことを一人で抱えて大変
- 親の死後に一人になってしまう
しかしこれらには全く根拠がありません。
確かに一人っ子の中には、わがままになってしまう子もいると思いますが、それは一人っ子だからではなく、家庭環境の問題であり、それは、きょうだいがいても同じことがいえます。
2.一人っ子のメリット・デメリットとその解決法
一人っ子はマイナスの面をクローズアップされることが多くありますが、ほとんどの場合、きちんとした根拠がありません。つまりイメージや固定概念がそうさせているのであって、むしろメリットが大きいといえます。
またデメリットも対策や解決策で解消することができますので、まとめて紹介していきます。
一人っ子の6つのメリット
一人っ子には、メリットがたくさんありますが、ここではその一例として6つのメリットを紹介します。
1 親の愛情を独り占めできる
一人っ子の最大のメリットといえるのがこの親の愛情を独占できるということです。
愛情をたっぷりと注がれた子は、性格も個性も豊かに育ち、「自分は愛されている」といった安心感から自己肯定感が高くなります。また、心が安定していて余裕が生まれるのも強みです。
2 きょうだいと比べられることがない
これは先に述べた「1」とよく似ているのですが、他の兄弟と比べられることがないので、劣等感を抱くことがありません。そのため心が安定していて自己否定をすることもありません。
もちろん、きょうだいっ子のママやパパは比べているつもりはなく平等であることを意識してる方は多くいると思います。ただその子の個性や違いをみているつもりでも子どもは比べられていると感じ心にダメージを負い劣等感を抱いたり、自己否定のクセがついてしまうこともあります。
一人っ子はそうしたリスクを負うことがありません。
3 お金をかけやすい
子どもを育てるには、食費や生活用品費、医療費などかかる費用がたくさんあります。なかでも費用負担の割合が高いのが教育費です。
内閣府が発表した「少子化社会白書(2003版)」によると
- 幼稚園から高校まですべて公立に通った場合では14年間で約511万円
- 幼稚園と高校で私立に通った場合は約720万円
- 小学校以外すべて私立に通った場合は約959万円
かかるとされています。
これに加えて大学(昼間部)に進学した場合には、大学生の学生生活費(学費と生活費の合計)が国立で約159万円、私立で約215万円、全平均で年間約202万円、大学4年間では平均で約807万円だそうです。
(参照) 内閣府「平成16年版 少子化社会白書(全体版) (1)育児・教育費用」
こうした教育費も一人だけに投資できるので、希望する学校のほかにも、習い事や好きなことに挑戦させてあげられる経済的メリットがあります。
4 遊びにとことんつきあえる
兄弟がいる場合は、一人につきっきりで遊ぶということはできませんが、一人っ子の場合はそれが可能です。勉強をじっくりとみてあげることもできます。途中で他の兄弟によって中断されるということもありません。
5 遊びや勉強を自分のペースでできる
自分がやりたいことをほかの兄弟にジャマされることなく自分のペースでできるので、集中力を高めることができます。
また、やりたいことができることで自分のペースを認めてもらえたという自己肯定感を育んだり、一人で過ごす時間は思考や空想を自由に巡らせ独自の世界を築きあげることができるのでクリエイティビティの育ちにもつながります。
6 ズルさがない
自分の失敗を他の兄弟のせいにしたり、ズルをして何かを手に入れようとしたりする必要がないので人を出し抜くような考えを持ちにくいのも一人っ子のメリットです。
のんびりとしているようにみえますが、ズルさがないことは周囲の信頼を得ることにもつながり、生きていくうえでの財産になります。
兄弟っ子のメリットからみる一人っ子のデメリットとその解決法
兄弟っ子にもメリットがたくさんあります。反対にそれは一人っ子のデメリットといえますが、ママやパパのサポートで十分に補うことができます。
1 いたわりの気持ちを育みにくい
兄弟っ子のメリットとして優しさやいたわり、助け合いの力が育まれることです。
一人っ子の場合は、親からの愛情を十分に受けて育つため、時がたてばちゃんと周囲の人をいたわったり愛することができるようになります。しかし、小さいうちは、子どもはいつもママやパパなどから愛情を与えられる人で愛情を与えるという機会が少ないのも現状です。
そのため、小さな子をいたわる気持ちなどは兄弟っ子に比べると自然には育ちにくいということもあります。
それには、以下にあげるような経験をさせることです。
- 早いうちから保育園に通う
- 異年齢のクラブやイベントに参加する
- ペットを飼う
- 高齢者と触れあう機会をつくる
保育園に通うことで異年齢の交流ができ、年上へのあこがれ、年下の子のお世話など、擬似兄弟の経験ができます。最近では異年齢の保育を実施している保育園も増えてきました。こうしたところを選ぶのもいいですし、ボーイスカウトやガールスカウト、夏休みのイベントなど子ども同士で関わる機会をつくることです。
ペットを飼うときのポイントは、世話を子どもだけにさせることです。これにより自分より弱い生き物は、自分が世話をしないと生きていけないということが経験できます。
また高齢者に接する機会がなかなかない場合でも、普段の生活のなかでママやパパがまずはお手本をみせます。例えば、買い物に行った先でドアを開けてあげるなど、どうすれば手助けになるのかを具体的にみせます。
こうした日々の経験がいたわりの気持ちを育んでいきます。
2 相手の気持ちや感情を想像する機会が少ない
兄弟がいると理不尽なことが日常茶飯事におきます。そのことで、いけないことだったんだという相手の気持ちを知る機会にもなります。そうした機会が極端に少ない一人っ子は、相手の気持ちを想像する気持ちが働きにくいことがあります。
そのため、相手にとってイヤな気持ちにさせることをしてしまうこともあります。
こうした場合には、ママやパパが「こんなことされたらママは(パパは)悲しいな」など、相手の想像する力をつけていくようにしましょう。また、絵本を読むのもおすすめです。登場人物への感情移入も大切な経験へとつながります。
3 親からのプレッシャーが大きい
一人っ子はたくさんのメリットがありますが、期待を一人で受け止めなくてはないないのも事実です。
親からの関心が常に自分だけに向いているプレッシャーを理解して、子どもの生き方や個性を尊重することが大切なポイントとなります。
また、まだまだ先のこととなりますが、将来、親の介護が負担になることがあります。親の介護は基本的に親の預貯金で負担するよう資金計画や将来設計を行い、将来的に子どもにその意思を伝えるよう、しっかりと長期的な視点で準備しておきましょう。
一人っ子にはメリットもデメリットもありますが、それは兄弟っ子も同じです。また、どちらも親の関わり方など家庭環境で個性が決まるということに違いはありません
3.一人っ子を育てるうえで大切にしたいこと&注意したいこと
一人っ子はメリットがたくさんあることがわかりましたが、育てるうえで大切にしたいことや注意したいことがあります。
けっして罪悪感を持たないこと
はじめから一人っ子と決めていたママやパパも、意図せず一人っ子になったママやパパも、けっして罪悪感を持たないことが大切です。
そして間違っても「ごめんね」「さびしいよね」などといったマイナスの言葉はいわないようにしましょう。
そのネガティブな感情を子どもは敏感に察知して「自分は一人っ子でかわいそうな子なんだ」と思っていまします。それが自己否定にもつながり、子育てで大切な「自己肯定感を育む」ことと真逆のことをしていることになってしまいます。
大丈夫です!一人っ子は、かわいそうなんかじゃないのですから。
お友だちや他の子と比べない
兄弟と比べることがないメリットのある一人っ子ですが、競争心を育てようと、その最大のメリットを台無しにすることのないように注意する必要があります。
それは仲のよいお友だちやクラスメイトなど、他の子どもと比較して、やる気や競争心をださせようとすることです。
例えば「〇〇ちゃんは100点とったんだって。あなたも頑張らなきゃね」など、励ましているつもりでも比べられていると感じてしまいます。これは、やる気を奪い、自分はダメなんだという自己否定の気持ちにつながってしまいます。
愛情を抑えない
子育てをするうえで最も大切なことであり、一人っ子の最大のメリットとである愛情を十分に注ぐことを抑えないようにしましょう。
「一人っ子だからと言われないようにしつけをきちんとしなきゃ」と思ってしまうママやパパもいると思います。
しかし、一人っ子だからこそ目が行き届きやすく、ときに厳しくなりすぎることがあります。家庭のルールや社会のルールを教えることは必要ですが「一人っ子だから」という心配で必要以上に厳しくしつける必要はないのです。不必要なしつけは一生残るダメージになることもあることを覚えておきましょう。
愛情をたっぷりと注がれた子は、わがままになるどころか、ママやパパの愛情を受け心が安定し、人にも優しくすることができるのです。
先回りをしない
命の危険に関わるようなことでなければ見守り、挫折も経験させることが必要です。
一人っ子は目が行き届きやすいため、友だちに嫌われないように、失敗しないようになど、ついつい先回りして口を出したり、手助けをしたくなります。
しかし、友だちなどの仲間同士の関りから学ぶこと、挫折や失敗をしたり、傷つくことも大切な経験となります。そこから強い心が育っていくのです。
また、子どもが欲しがる前に何でも買い与える、さまざまなところに連れていくのも同様です。
どうしても欲しい!行きたい!という強い願いが達成できたときのよろこびの経験がないと、自分が何をほしくて、何がしたいのかがわからなくなってしまいます。
私もこれはやってしまっていたのでドキッとしました。子どもが本当にほしいというものを買うようにグッと気持ちを抑えようと思います。
4.「一人っ子がかわいそう」と言われたときの返し方5選
そもそも子どもの人数も含めて家庭のことは、それぞれで考えがあって当然のことです。また、ほしいと思っていたのにできなかったという場合もあり、とてもデリケートな話でもあります。
それなのに「一人っ子はかわいそう」だなんて無神経ですし、余計なお世話以外の何ものでもありません。
それでもうまく返すことができずにモヤモヤした経験のある一人っ子ママやパパは多いのではないでしょうか。
ここでは、できる限り波風たてず、さらに二度と言わせないよう、相手に気づきをあたえるような返し方を選んでみました。参考にしてみてくださいね。
ママ友・友人編
- ご心配ありがとう。そういう考えもあるよね。
- うちは初めから一人っ子って決めてるんだ。
- 二人目がほしいと思ったこともあるけど、今は一人っ子でいいなって思ってるよ。
考え方は人それぞれですから「方針として決めているけど、あなたの考えはそうなんだね」っと、あくまでもその方の考えとして受け止めて流します。そのうえで、私のうちの方針は一人っ子でOKなのよということもハッキリ伝えてOKです。
家族・親せき編
- 昔はそう言われること多かったですよね
- 最近は計画的な一人っ子も多いんですよ
ポイントは「昔は」「最近は」を使うことで、「その考え古いですよ」ということを遠回しに伝えます。
それでも頑固だったりプライドの高い方は、しつこく言ってきそうですが、その後のことは「なるほどですね~、そういった考えもありますよね。最近はそんなこともないみたいですよ」と相手の意見を尊重しつつ、やはりここでも「最近は」でやんわり否定。
これでも言い続けてくる方がいれば無神経な方ということで、もう放っておきましょう。一人っ子ママやパパは、そうしたことにも傷つかない鉄の心を持つことや、気分の切り替えをしていくほうが得策です。
一人っ子がかわいそうなんて時代遅れの考えなのです。むしろメリットがいっぱいなのですから、自信をもっていいのです。
(番外編)子どもに「弟や妹がほしい!」と言われたとき
お友達に兄弟ができたときに「うらやましいな」と感じ弟や妹がほしいということがあります。こうしたときに大切なのは、子どもの言葉にけっして振り回されないということです。
兄弟がほしいという気持ちを尊重したうえで、兄弟がいないことを前向きにとらえられるようにポジティブな言葉で返しましょう。
<一例>
- 一人っ子と決めている場合:パパとママは〇〇(子ども)がすっごく可愛いから、あなただけでいいんだ
- ほしいけど、まだできていない場合:ママも(パパも)ほしいな
ここでけっして言ってはいけないのが「いい子にしてたら、できるかもね」という言葉です。もしも、兄弟ができなかった場合に「自分がいい子じゃないから兄弟ができないんだ」と自分を責めてしまいます。
さいごに
いかがでしたか。
一人っ子は兄弟がいないことから「かわいそう」という目でみられることがあるのは事実です。また、残念ながらマイナス面をクローズアップされることは、しばらく変わらないかもしれません。
しかし、一人っ子がかわいそうだというのは時代遅れ考えでしかありません。
ママやパパは「また根拠のないことを言ってるな」くらいに思って自信を持って子育てをしていく強い心を持ちましょう。なぜなら、一人っ子の真実は子育てするうえでのメリットがいっぱいだからです。
子育てをするうでで最も重要な「愛情いっぱいに育てる」ことができるのは一人っ子の最大のメリットです!今日からは、周囲の声に惑わされず、自信をもって子育てを楽しんでくださいね。