お小遣い制を始めてみたいけど「何歳からあげたらいいの?」「金額はいくらが適切?」など、悩みますよね。
お小遣いはお金の使い方やご家庭ごとのお金の価値観を教えるためにも、とてもよい機会となります。始めるよいタイミングとしては、年齢ではなく、子どもがお金に興味を持ち始めたときです。また、各家庭の教育方針や事情、その子ども自身の興味や成長によっても変わります。
この記事では、子どもの「お小遣い」について、
- スタートさせるベストタイミング
- 金額の考え方(一般的な相場も)
- お小遣い以外の臨時収入はどうするか
- 事前の準備やルール
- 注意点
など、紹介していきます。
この記事を読んでいただければ、子どもへの金銭教育としても役立てられるお小遣い制の考え方がわかります。お小遣い制を考え始めたら、ぜひ一度、最後まで読んでみてくださいね。
目次
1.「お小遣い」を始めるベストなタイミングはお金や数字に興味を持ったら
一般的には小学校への入学をきっかけにお小遣いをあげ始める家庭が多いようですが、お金に興味を持ったら幼児期でもお小遣い制をはじめるよい機会です。
では、『お金に興味を持ったとき』とは、具体的にどんなときなのか一例をあげてみます。
- 「これ買って!」「これが(あれが)ほしい!」と言うようになった
- 買い物やレジでの支払いなどに興味を持ち始めたら
いかがですか?何かを買ってほしいと言うだけなら、3~4歳でもあることですよね。つまりはお小遣い制を始めてもよいタイミングといえるのですが、あまりにも小さいとお金の概念を理解できない場合もあります。
つまりは、お金に興味を持つようになっただけでなく、その概念を理解できるようになったら、お小遣い制を始めるベストなタイミングといえます。ですから、それにあてはまれば、4歳や5歳の幼児期にスタートしてもよいのです。
反対に、あまり興味がないようだなと思えば、小学生になってからでも遅くはありません。
これは兄弟間でも差がでるところで、あくまでもその子の興味や成長にあわせるのがポイントです。(比較的、数字に興味を持つ子の方がお金の概念の理解も早いように思います)
ただ、小学3~4年生頃になると、いわゆるギャングエイジといわれるように、親や先生よりも友達が一番となる時期となり、その影響力も高くなります。そのため、友だちがもらっているから同じ金額のお小遣いがほしいといったようなことも出てきます。その頃に家庭ごとのお金のルールや価値観などを教えるのは難しくなるため、小学校一年生頃に開始することをおすすめします。
幼児期のお金の失敗は、よい学びとなる
幼児期にお小遣いをあげて使わせたら失敗するんじゃないかと心配するママやパパもいると思います。
しかし、幼児期のお小遣いなら失敗しても少額で済みます。また、その失敗が、何かを買ったら他は買えなくなるという、お金の有限性を学ぶのです。
その時に欲しいと思ったものを衝動買いし、後悔することもあるでしょう。そこから、計画的に買う事や比較して買うことなど、自分の意思で限りある範囲で買わなければならないという金銭感覚につながります。
心配しすぎて口出しするよりも、自己決定権を認め見守りましょう。必要な時にさりげないアドバイスやサポートをするだけで十分です。
お金の理解ができていないけど幼児から始めたい、そんな場合は代替のモノを使う
お金のことをよく理解できていないけど、小学校入学前にどうしてもお小遣いをあげ始めたい(学ばせたい)というママやパパもいますよね。
ただ、お金であげるのは、やはり理解できてからの方がよいので、現金に替わるものでスタートすることをおすすめします。
例えば、以下のようなイメージです。
よく欲しがるものなど何に使うか1つ決める
↓
お金の代わりにおもちゃのコインやおはじき、シールなど身近にあるモノを代用する
↓
「これが3枚集まったら買える」などとルールを決める
↓
決めた日にその代替のモノを渡す
↓
決めた枚数が集まったら、その分のお金を持たせて一緒に買いにいく(遊びにいく)
こうして簡単なルールにしておけば、子どもでも「今は2枚あるから、あと1枚集まったら買える(遊べる)」などのように、理解しやすくなります。
これを繰り返していくことで、お金の概念を理解しやすくなります。
2.「お小遣い」の金額は家庭状況で決める【相場や金額例も】
いざお小遣い制をスタートしようと思っても「一体いくらあげればいいの?」と悩むママ・パパは多いでしょう。
一般的にどれくらいの金額をあげているものなのか気にはなりますよね。よく言われるのは、年齢×100円です。5歳なら毎月500円、6歳なら600円となるわけですが、これはすべての家庭状況にはマッチしません。
あくまでも参考として、やはり金額は家庭状況にあわせて決めるのが一番です。親子でお小遣いを何に使うのか、そのためにいくらにするかを相談してください。
それが少々難しい場合は、はじめのうちはママやパパが決めて子どもに説明するようにします。子どもの成長や教育方針などにあわせて決めてください。
例えば、ガチャガチャが好きで定期的にやっているようなら、そのためのお金をお小遣いにしてもいいでしょうし、いつも買う大好きなお菓子を買うためでも、はじめはお金を使う練習でもありますので、何でもOKです。
中には、習い事の月謝や、毎月購読している絵本の代金を含めてお小遣いにするという例もあります。そうすることで、その習い事や絵本にも当然ながらお金がかかっているということ、またその金額がいくらなのかなどを理解することができ、様々な副次効果も期待できます。
子どもお小遣いの相場と金額例
家庭事情にあわせて金額を決めるにしても一般的にどのくらいの相場なのか気になりますよね。そこでここでは、参考までに、いくつかの金額例などをあげてみます。
まず、金融広報中央委員会の「子どものくらしとお金に関する調査」によると多少のバラつきはあるものの、相場としては以下のようです。
- 小学校低学年&中学年:500円/月
- 小学校高学年:500~1,000円/月
使い道は、お菓子やジュースが最も多い結果でした。ちなみに、この調査では、小学生でもお小遣いをもらっているのは全体の7割程度だそうです(2015年の調査時点)。
次に、おもちゃで有名なバンダイの「小中学生のおこづかいに関する意識調査」によると、1か月にもらうお小遣いの平均は以下のようです。
- 小学1~3年生:1,045円/月
- 小学4~6年生:1,845円/月
使い道は、こちらもお菓子やジュースが最も多い結果でした。また、定期的にお小遣いをもらっているのは、全体の34%程度で、ほかは必要になった時にもらう、お手伝いをした後にもらうということでした。
このほか、小学生の親向け教育メディアおうちの教材の森の「小学生の子どもにあげる毎月のお小遣い額は?」では、小学生ではお小遣いを渡さない(=0円)が第一位、ついで500円、1,000の順という結果でした。
お小遣いをあげない理由は、一人で買い物や遊びに行かせていないことや必要なときに渡しているということのほか、中学生になるまで渡さないと決めている、という方もいるようでした。
こんな風にちょっと調べただけでも、考え方は実にさまざまです。そのご家庭ごとの考えですから、それもよいと思います。
ただ、お小遣いは将来の金銭教育の機会にもなるということは見失わないようにしたいところです。ご家庭ごとのルールや価値観をしっかりと伝えておくためにいつ開始するのがよいかは、前章までに紹介したとおりです。
3.「お小遣い制」を始める前に決めるルール&用意するもの
お小遣い制導入の時期や金額が決まったら、事前準備をしていきましょう。
事前に用意したい3つのモノ
お小遣い制をスタートする前に用意したい3つのものを紹介します。
- お財布
- 貯金箱(空き瓶などの代替でも可)
- お小遣い帳(状況によっては不要)
まず、お財布はその子ども専用のものを用意しましょう。より自分のお金という意識が芽生え、意識づけになります。お財布のスタイルは、大人のような複雑なものでなければ、好きなキャラクターの子ども用財布でも、使いやすければ代わりのものでも何でもOKです。可能なら一緒に買いに行くのといいですね。
ちなみに、我が家のお財布の条件は、お札入れは不要、幼児でも開け閉めしやすいファスナー式の小銭入れ、肩からかけられるものの3つでした。100円ショップやネットショップなどもいろいろ探し回って、最終的には、しまむら系のお店で、数百円の小銭入れを購入しました。選択肢は少なかったのですが、娘と一緒に選びました。幼児の手でも出し入れしやすく、肩から下げたサイズ感じもバッチリでした。こんな風にあまり難しく考えず、その時々で適したものを選んでOKです。
お小遣い帳は、金銭感覚を身につけるためにも活用したいアイテムです。自分が何にどれくらい使ったのか振り返ることができますし、ほしいものを買うには、あとどれくらい必要なのかなど、お金のやりくりや計画性が身にいつていきます。
用意するお小遣い帳も、ノートに線を引いた簡単なものでもいいですし、お気に入りのキャラクターのものでも何でも大丈夫です。我が家は、100円ショップで購入したものを使っています。
また、もしも、数字や文字を書くのが苦手で、まだ難しい時期なら、無理に使わなくても大丈夫です。その代わり、いくらお金があるのかがわかりやすいように、貯金箱を透明な空き瓶にするのがおすすめです。
また、貯金箱を探していたときに、コインを入れるだけで金額をデジタルカウントしてくれる貯金箱などもありました。
参考までにリンクを張っておきますね。これ以外にもかわいくて楽しいものなど色々見かけたので楽しみながら検索してみてください。
使い道とルールを決めておく
お小遣い制をスタートするにあたり、何に使うのか、ルールも一緒に決めておきます。ただし、ルールは制限しすぎず、子どもにわかりやすい最低限のものにするのがポイントです。
例えば、お菓子にお小遣いを使うのなら、チョコレートは1日に何個までとか、着色料を使ったお菓子はダメなどわかりやすいシンプルなルールがおすすめです。
そして、ルールとして決めたこと以外は口出しせず、自己決定をさせるようにすることも大事です。
お小遣いを渡す間隔を決める
お小遣いの使い道やルールが決まったら、次はお小遣いを渡す回数や間隔を決めましょう。
例えば、
- 毎月一回決まった日に1か月分を渡す
- 毎週決まった曜日に決めた分を渡す
などなど。
これは、お小遣いをどう使うかによっても違ってくるところです。
例えば、習い事の月謝や絵本などの代金も含むなど金額が多ければ、月に1回で渡す方が管理しやすいでしょうし、少額なら毎週決まった曜日に渡していくというのもいいですね。ここも、使い道とご家庭ごとの方針で決めるルールとなります。
大切なポイントは、そのルールは必ず守るということです。もしも、どうしても変更が必要ならば、その度にきちんと親子で話しあいをしたうえで変更しましょう。
お年玉は子どもの口座に貯金する
お年玉は子どもが使うには金額が大きいので、子ども専用の口座に貯金することをおすすめします。
その際のポイントとなるのは、以下の2点です。
- 貯金は何のためにするのか伝える
- 一緒に入金に行く
まず、ご家庭によっては、お小遣いに特例は出したくないから全額貯金させるという考えや、お正月くらい特別に使えるお小遣いがあってもよいということもあると思います。どちらがいいというものではなく、ご家庭での方針で決めます。ただ小さいうちは、自由に使うには多すぎるため、後者の場合でもいくらまでならOKなのか決め、残りは貯金するようにしましょう。
このとき、「大きくなって必要なときに使えるように貯金をしていくんだよ」「このお金は大人になって、どうしても必要な時がきたら使うんだよ」などのように、貯金をする目的も必ず伝えます。
また可能な限り、口座への入金は子どもと一緒に行くのがおすすめです。
もし、子ども専用の口座がなければ、口座開設から一緒に行くと、勉強になりますし、より強い意識づけにもなります。(もちろん、可能な場合でOKです!我が家も私が仕事の昼休みに一人で口座を作りに行きました。)
4.「お小遣い」を始めたら注意すること3つ!
いよいよお小遣い制をスタートしたら注意したいポイントが3つあります。
- お小遣いをご褒美にしない
- 買うものに口出ししない&親の財布から出さない
- お小遣いアップは子ども自身が交渉する
次から具体的にみていきましょう。
お小遣いをご褒美(報酬制)にしない
お小遣いのあげ方の本や記事を読んでいると、お手伝いをしたご褒美として渡す報酬制について書かれているのをよく目にします。
お金は労働の対価として得るものではありますが、報酬を得られなくともやらなくてはならないことはたくさんあります。ですから、お手伝いをしたらお小遣いがもらえることが、あたりまえの環境で育ってしまうと、お金にならないことはやらなくなってしまう可能性があります。
働いてお金をもらうことの喜びを知るのは、もう少し後からでもよいのではないでしょうか。
それよりも、お手伝いをして誰かの役に立つことや、お手伝いによって喜んでくれる人がいる、という経験の方がずっと大切です。
お小遣いで買うと決めたものには口出し&親が支払いしない
お小遣い制をスタートしたら、事前に決めたルール以外のことや使い道には口出ししないようにしましょう。
限りあるものの中から自分で選び購入するという一連の行動は、判断力や決断力も育んでくれます。たとえ失敗した場合も勉強にもなります。そこから、次にどうすればいいのかサポートしながら子どもに考えさせることがポイントです。
また、子どものお小遣いで購入すると決めたものは、親の財布からお金を出さないように注意しましょう。
お小遣い制は、お金は有限であること、欲求をコントロールする、計画性や判断力を育むなど様々なことを学ぶチャンスなのです。それが、親の財布からも出してしまっていたら、これらを学び身に着けるチャンスを逃してしまいます。
そのために、事前に何にお小遣いを使うのかをしっかりと話しあっておく必要があるのです。
お小遣いアップなどをする場合はプレゼン交渉させる
これはお小遣い制をスタートしてから、ずっと後のことになりますが、決まった金額以上にお小遣いが必要になった場合は、
- なぜその金額が必要なのか
- お小遣いアップがなければどんなメリットやデメリットがあるのか
などの内容で、プレゼン交渉させてみましょう。
それによって、定額をアップさせるのか、臨時のお小遣いとして渡すのかを判断します。もちろん、あげないという選択肢もあると思います。その場合は、なぜダメなのかを子どもにわかるようにきちんと伝えるようにしましょう。
さいごに
いかがでしたか?お小遣いは、子どもが将来生きていくために欠かせないマネー教育にもなる貴重な機会となります。
あげ方一つで、その効果は変わってきますから、機会ロスしないようにしたいですね。
もちろん、ここで紹介したお小遣いの考え方は、ほんの一例です。参考にしていただきながら、ご家庭ごとのお金の価値観や方針、子どもの個性を大切に進めてみてください。