最近よく耳にする「EQ」という言葉は、知育に関心のあるママやパパなら一度は聞いたことがありますよね。
ただ、今さら聞けないけど「具体的などんなものなの?」「高めることはできる?」「EQが高いとどんなメリットがある?」と、実はよくわからないという方もいるのではないでしょうか。
「EQ」とは「Emotional Intelligence Quotient」の略語で「心の知能指数」といわれ、自分の感情を上手くコントロールできる能力のことです。また、他人の感情を読み取ることやコミュニケーションに活かすこともできる対人能力にも優れ、良好な人間関係を築くことができます。そのため、社会を上手に生き抜くための力として、「EQ」の高さが「IQ」よりも重要視されています。
この記事では、
- 「EQ」とは何か
- 「IQ」との違い
- 「EQ」とともに注目される「HQ」「SQ」について
- 「EQ」を高める親の関わり方
- 6歳までが重要とされる理由
などについて紹介していきます。
最後まで読んでいただければ、EQの基本とともに、子どものEQを高める親としての関わり方のポイントを掴んでいただけるはずです。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
目次
1.「EQ」とは、自分の感情コントロールや人間関係を円滑にできる能力
「EQ」は「心の知能指数」といわれる非認知能力の一つです。
「EQ」が高いと自己肯定感が高く、自分の感情をうまくコントロールすることができます。そのため、たとえ失敗しても次につなげる改善策を考え、再びチャレンジすることができるなど、前向きな感情生み出すことができます。
また、他人の感情を読み取ることもできるため、コミュニケーションをとるのが上手く、人間関係を円滑にします。
<「EQ」の高い子どもの特徴>
- 明るく前向き
- 思いやりがある
- 情緒が安定している
- 最後までやり抜く忍耐力がある
- 感受性豊か
- 集中力がある
- 他人を否定しない
- リーダーシップを発揮できる
「EQ」の高い子どもは、失敗や挫折をしてもいつまでもくよくよ悩むことはありません。成功や完成に向けて、何度でもたちあがり最後までやり抜く力があります。集中力があるので、自分の感情に流されず、思うようにいかなくとも癇癪を起して投げ出すようなことはしません。
また、他人のことを思いやることができるため、具体的な言葉にしなくても相手の気持ちを汲んだり、人が嫌がるようなことはせず、むしろ、喜ばせる反応をすることができます。
対立する相手でも受け入れながら自分の意見を伝えることができるので、交渉も得意です。「EQ」の高い子どもがいるだけで、その場の雰囲気がよくなることや、周りに自然と人が集まることも少なくありません。そして、チームの協調性を整え、チームバランスをとるリーダーシップを発揮することができます。
2.「IQ」と「EQ」の違いは2つ
一般的に頭のよさを示す指標としてよく知られる「IQ」と「EQ」の大きな違いは2つです。
まず、「IQ」は、「Intelligence Quotient」の略語で「知能指数」といわれます。同年齢のなかでの知能の高さを示すもので、平均を100として、120以上が高い、140を超えると天才とされています。このように「IQ」は数値計測することが可能です。一方「EQ」は、「IQ」のように数値計測できない非認知能力です。1つめはこの違いです。
2つめの違いは、「IQ」は生まれ持った要素が大きく影響するといわれますが、「EQ」は幼少期の親との関わりで高めることができ、その後も保持することができるということです。幼少期に高めた「EQ」は生涯にわたって生きる能力でもあります。
20年くらい前までは、「IQ」が高い人が優秀な人とされていました。そのため、企業の採用でも学歴などが重要視さる風潮がありましたが、近年では、学歴の高さだけでなく、「EQ」の高い人材が求められる傾向が高くあります。社会を質高く生き抜くためにも「IQ」よりも「EQ」の方が重要視されているのです。
3.「EQ」と同様に注目される「SQ」「HQ」は社会で質高く生き抜く知能
ここで「EQ」とともに注目される「SQ」「HQ」について、それぞれみていきましょう。
「SQ」は「EQ」の進化系
「SQ」は、「Social Intelligence Quontient」略語で「生き方の知能指数」といわれます。「EQ」の進化系として、人を思いやる行動や周囲にいい影響を与えられるような、社会で役立つ力とされています。
また、自分の考えを相手にわかりやすく伝えることができ、相手の気持ちを想像することができます。そして、人とのつながりから様々ことを学んだり、協力することの大切さも理解できます。
そのため、「SQ」はリーダーに必要な力でもあるといわれています。「SQ」が発達しているほど、チームのメンバーの能力や意欲を引き出すことができ、よい結果を出すことができます。
「HQ」はあらゆる知能を統括する知能
「HQ」とは、「Humanity Quotient」の略語で、「人間性知能」と訳され、「IQ」や「SQ」を含む総合的な能力で「社会の中で生きていくための能力」ともいわれています。
脳科学学者の澤口俊之先生が社会生活、結婚生活、子育てを適切に行うために進化した知能でもあると提唱しています。もっと「HQ」詳しく知りたいという方は澤口先生のホームページもあわせて読んでみてください。
4.「EQ」を高めるには6歳までの親の関わり方が重要!ポイント6つ
「EQ」は非認知能力ですから、その能力を高めるためには幼児期、つまり6歳までの親の関わり方が重要となります。ただし、幼児期を過ぎたからといって高められない訳ではありません。小学生でも大人でもいつからでも高めることは可能です。それでも幼児期が最適といわれる理由は、最後にふれますので、ぜひ参考にしてください。
それでは、子どもの「EQ」を伸ばすために心がけたい6つのポイントを具体的にみていきましょう。
(1)感情を押さえつけず受け止める
感情のコントロールが未熟な幼児期には、その気持ちや考えをなるべく押さえ込んだりせず、まずは一旦受け止めることです。
「これがイヤだったんだね」「こう考えたんだね」などのように、具体的な言葉に変えて受け止めることで、自分の気持ちをわかってもらえたという安心感と信頼が生まれます。
命に関わることや他人に迷惑がかかること以外は、たとえ間違っていることでも否定せず、一旦受け止めた後で、どうすればよかったのかをきちんと説明するようにしましょう。
自分の意思が受け入れられたことでの自信がつき、さまざまなことに挑戦できる能力が育まれます。
(2)子どもの話をしっかり聞く(対話する)
小さいうちは、話を整理して伝える能力も未熟です。忙しい時などは、もどかしくなるものですが、けっして「~ってことね」などと先回りしないように意識しながら、最後まで話を聞くようにしましょう。
ポイントは、「うん、うん。それで」など相づちをうったり、子どもが話した言葉を繰り返しながら最後まで聞くことです。ママやパパが自分に関心を持っている、受け入れられていると感じ、一生懸命に話をしてくれます。このコミュニケーションを繰り返すことで、自然に話を整理しながら伝える、という力が養われていくようになります。
ただ、どうしても忙しくて聞けない!というタイミングはありますよね。
その場合は「興味あるんだけど、今〇〇だから、これが終わったら聞かせてくれる?」「すごく聞きたいんだけど、〇分待ててくれる?」などと、具体的にいつなら話がきけるかなど伝えるようにします。そして、たとえ子どもが忘れていても必ず約束した通りに話を聞くようにします。それは1日のなかでほんの少しの時間でも大丈夫です。短い時間でもしっかりと聞くことがポイントです。
(3)スキンシップをたっぷりとする
スキンシップは、ママやパパからの愛情を感じ、安心感や信頼関係、自己肯定感を育むなど、いいことがたくさんあります。幼児期にたっぷりとスキンシップをすることで情緒が安定し、感情を抑制する機能を育むことができます。
ご自分がそうであったように、子どもは成長とともにスキンシップを嫌がることも出てきます。たっぷりとスキンシップができるのも幼児期ならではです。絵本を読むときに抱っこする、あいさつの時にタッチする、手をつなぐ、いつでも何度でもスキンシップしましょう。
それは、褒めるときやリラックスのときだけでなく叱るときにも、手を握ったり、背中に手をおいたり、ギュッと抱きしめたり、スキンシップをしながら、というのがおすすめです。
また、これまでも何度かふれてきましたが、スキンシップは「オキシトシン」という幸せホルモンを分泌させてくれます。これは、子どもだけでなくママやパパも同じ効果が得られます。抱っこしたりハグをしたり、「大好きだよ」などと言葉も添えながら、たくさんスキンシップをとってくださいね。
(4)叱る理由はきちんと伝える&気持ちを素直に伝える
子どもが成長して口達者になってくると、ついつい言い争いになったり、お互いにヒートアップすることも出てきます。親も人間ですから感情を抑えきれないこともあります。しかし、親が興奮すると子どもは、さらに冷静に考えることができません。
そのため、大変なことではありますが、ママやパパの方がグッと一息飲んで冷静になってから、叱った理由をしっかりと伝えます。そのときのポイントは、叱った理由だけをなるべく短く伝えることです。けっして、子どもの人格を否定するようなことや、他のことまで言わないように注意しましょう。
親が冷静にしっかりと理由を伝えることで、すぐには子どもの感情が収まらなくても、後で冷静に考えることができますし、徐々に感情を抑制することを学んでいきます。
また、子どもの気持ちを受け止めるだけでなく、ママやパパの気持ちも伝えることも大切です。「そんな風に言われたら悲しいな」「イヤな気持ちになったよ」など素直な気持ちを伝えます。いつもすべてを冷静に受け止めてくれる親にも感情があることを理解させることで、コミュニケーション能力が育まれていきます。
(5)一緒に遊ぶ(学ぶ)
ママやパパが子どもと一緒に遊ぶときに大切なポイントは、子どもに関心を持って集中して遊ぶということです。
子どもと一緒に感情を表現しあうことは、子どもの情緒の発達に大きな影響を与えます。勉強や学ぶことも同じで、一緒に楽しむことがとても大切です。それは簡単なことでもOKです。たとえば、一緒に絵本を読むなどもいいですね。
仕事をしているママやパパのなかには、忙しくて一緒に遊んだりする時間がなかなか取れないという方もいるかもしれませんね。でも大丈夫です。長い時間が取れなくとも、密度の高い質の方が重要なのです。
(6)褒めるときは具体的に
子どもを褒めるときに、「いい子だね」「頭いいね」「天才!」などと褒めていませんか?残念ながらこの褒め方では「EQ」を伸ばすことはできません。能力を褒めると、それ以上の努力をしなくなり、また褒められたときに出来たことが出来なかったり、ちょっと失敗したときに、自分には才能がなかったんだと諦めてしまうクセがついてしまいます。
褒めるときには、事実や努力、過程などをなるべく具体的に褒めてください。
たとえば「最後までできたね」「一人で読めたね」「ここの色を分けてぬったんだね」「お片づけできたね」など。
そうすることで、子どもは自信と意欲がわき、「次はもっとがんばろう」と努力するようになります。たとえ、最後までやり遂げることが出来なかったとしても、「ここまでできたね」など、できたことを具体的に褒めましょう。
6歳を過ぎていても大丈夫、いつからでも「EQ」は高められる
「EQ」を高めるのは6歳までの幼児期がおすすめですが、6歳を過ぎているからといって「EQ」を高められないわけではありません。もちろん、大人でも「EQ」は高められます。
では、なぜ6歳までが最適といわれるのでしょうか。それは簡単に身に着けることができるからです。幼児期は、感情のコントロールをはじめ、まだ人間として未熟な時期です。だからこそ、無理なく吸収し、土台をつくることができます。
逆に、一度出来上がってしまった土台を変えるのは、徐々に難しくなっていきます(大人は相当な自己努力が必要なのでなかなか大変です)。しかし、6歳を過ぎていてもいつでも始めることはできます。
成長にあわせて工夫は必要となりますが、ポイントは幼児期と同じです。
たとえば、スキンシップをなかなか取りにくくなった年齢でも、ポンと肩をたたく、ハイタッチをするなどもできますし、一緒に料理をしたり、褒めることだっていつでもできます。6つのポイントは、幼児期を過ぎても継続したいですね。
さいごに
いかがでしたか?
「EQ」は社会のなかで質高く生き抜くために必要な能力であり、幼児期の親の接し方で高めることが可能な能力でもあります。そして、ポイントとなる6つのことは、「EQ」だけでなく「非認知能力」を育むうえでも共通することです。そして、どれも意識次第で簡単にできることですから、今日から実践してみてくださいね。きっと、子どもの成長を目の当たりにできるはずです。
(これまで繰り返し出てきた「非認知能力」について詳しく知りたい方は「非認知機能とは?幼少期に育てたい理由・伸ばし方【かんたん開設】」もあわせて読んでみてください)